ドイツ・ドライブの旅
1998.4.28〜5.5

 



イタリアからドイツへ

 ヴェネツィアを出発してヴェローナで1泊した翌日、イタリアをあとにドイツへ向かいます。朝8:58ヴェローナ ポルタ・ヌオーヴァ駅を出発した列車はしばらくして急勾配な山路となり、車窓からは丘の上にある町や城がたびたび現れます。12:32オーストリアのインスブルックに到着し、ローカル線に乗り換えて、14:17ドイツのガルミッシュ・パルテンキルヒェンに到着しました。ガルミッシュ・パルテンキルヒェンはオーストリア国境近くに位置するドイツ・アルプスの観光基地です。銀行でドイツマルクに両替し、HERTZレンタカーへと向かいました。ここからフランクフルトまでの7日間は車の旅になります。

レンタカーを借りる

 HERTZレンタカーはMittenwalder通りにあるホテルが代行していました。予約確認書を見せて難なく処理は完了。日本でAT車を予約していましたが、MT車しか置いていませんでした。ヨーロッパではAT車は少なく、レンタル料金もMT車に比べて高いようです。料金は7日間でMT車・保険料込み835DM(63,215円)。保険はフル・プロテクションで加入。国際免許証はもちろん事前に用意していました。チェックアウト(出発)とチェックイン(到着)は同じ場所でなくてよく、同じ国内なら追加料金も要りません。違う国に乗り捨てるなら追加料金が必要。


ドイツでの運転

 ドイツは右側通行です。海外で運転するのは初めてで、HERTZの駐車場から出るときはかなり勇気がいりました。半日走れば運転は慣れますが油断は禁物です。交差点を曲がるときは右側レーンに入ることを常に意識し、左折では前方から走ってくる車に注意が必要です。私も左折で前方確認を忘れていて危ないことがありました。
 一般道の制限速度は100km。町に入る前には「市街地区間始まり」の標識があり、速度を落とさなければいけません。アウトバーンは料金無料の速度無制限で、追越車線は時速200km以上で走っている車もあります。ガソリンスタンドの給油はセルフサービスで、給油が済むと窓口で料金を支払います。
 オーバーアマガウの本屋で詳細なロードマップを購入し、たいへん役立ちました。ロマンティック街道をドライブするなら必須です。HERTZで簡単な地図をもらいましたが、これでは不足していました。
 ドイツ人は交通ルールを厳守しているように思えます。また交通マナーも素晴らしいです。横断歩道で歩行者が待っていると、車は必ず停車して歩行者を優先させていました。旅行者にとってもドイツは運転し易い国だと思います。治安も非常に良いので車の盗難等も気にせずに駐車できました。


オーバーアマガウ(Oberammergau)

 ガルミッシュ・パルテンキルヒェンより迷いながら1時間で到着。空気が新鮮な高原の村です。建物には様々なフレスコ画が画かれています。ここで泊まったホテル「Schilcherhof」は1泊109DM (8,284円)で、部屋の設備も充実していてオーナーのおばさんも親切。とても良いホテルでした。

 オーバーアマガウから車で約30分でリンダーホーフ城に到着。城までの風景が素晴らしかったです。リンダーホーフ城はルードヴィヒU世が19世紀に作った城の1つです。人工洞窟は趣味が悪いというか不気味。ルードヴィヒはここで同性愛に耽ったといいます。


オーバーアマガウ


フュッセン(Fussen)

 リンダーホーフ城から約1時間でフュッセンに到着。途中、オーストリア内を一時的に通過しましたが、検問も無ければ国境線もありませんでした。フュッセンの街より10分ほど走り、白亜のノイシュバン・シュタイン城が姿を現しました。こんな美しい城は今まで見たことがありません。


 ノイシュヴァンシュタイン城は「新白鳥城」という意味で、19世紀後半にバイエルン国王ルードヴィヒU世が17年の歳月と巨費を注ぎ込んで作った城です。ワーグナーの陶酔者であった彼は、城内の壁画などにワーグナー・オペラの名場面を数多く描かせています。ルードヴィヒは精神病と診断された後、シュタルンベルク湖畔で謎の死を遂げます。実はこの城はルードヴィヒの死とともに工事がストップしたため、厳密にいうと未完成なのです。本来、中庭の真中に高さ90mの天守閣が建てられるはずでした。
 フュッセンは自然豊かな美しいところです。ロープウェイ
でテーゲルベルク山に登ると、山頂からのフュッセン、シュヴァンガウの眺めが素晴らしいです。シュヴァンガウのホテル「Schloβblick」で宿をとりました。部屋のバルコニーからノイシュヴァンシュタイン城が目の前に見えました。夜はライトアップされてました。


テーゲルベルク山からの眺め


ノイシュバン・シュタイン城 マリエン橋より



ロマンティック街道

 10:30フュッセンを出発し、ロマンティック街道を北上します。何年か前のTVでドライブしながらロマンティック街道を旅する番組を見て、いつかは自分もこんな旅をしてみたいと思っていました。ロマンティック街道はヴュルツブルクからフュッセンまでの350kmの間をいい、ローマに通じる道という意味です。元々は古代ローマの通商路でした。
 迷いながらKEMPTENという町からアウトバーン・7号線に入りました。アウトバーンは真っ直ぐな道が続き本当に快適です。おおよそ時速130〜140kmで走りました。
たまに追越車線に入ると、遥か後ろにいた車にあっという間に追いつかれ、焦ってしまいます。追越車線は時速200km以上で走っている車もあります。
 ULMを通過し、116番出口で一般道に出ました。田園風景が続く中をドライブし、午後2時30分にネルトリンゲンに到着しました。アウトバーンよりも一般道のほうが、のんびり美しい街や風景が見れて楽しめます。

ネルトリンゲン(Nordlingen)

 隕石が落下してできたリース盆地の中にあり、戦禍をこうむることなく中世そのままの姿を残した城郭都市です。町を円形に囲む城壁は16の城門を持ち、防備で固められています。
 町はかわいらしい赤い三角屋根の家ばかり。広場のカフェではたくさんの人がくつろいでいます。
ゲオルク教会の塔(ダニエル)からは城壁で囲まれたネルトリンゲンの町全体が見渡せます。


ネルトリンゲンの町並み ゲオルク教会の塔より


ディンケルスビュール(Dinkelsbuhl)

 ネルトリンゲンから車で1時間弱。ネルトリンゲンと同じく、中世そのままの姿を今に残す町で、その周囲は城壁と見張塔で囲まれています。
 旧市街の真中にあるHotel Eisenkrugに宿をとりました。ホテルのレストラン「Weinkeller」で注文したアスパラガスとフィレステーキ、黒ビールが美味しかったです。



ディンケルスビュールの街並み



城壁と塔



ディンケルスビュール ヴェルニッツ門


ローテンブルク(Rothenburg)

 ディンケルスビュールを出発しアウトバーン7号線に乗り、約1時間でローテンブルクに到着。ローテンブルクはロマンティック街道のハイライトで、中世の宝石と呼ばれています。正式名称はRothenburg ob der Tauberといい、タウバー川の上方にあるローテンブルクという意味です。町に入るとそこはあたかも童話の国にでも迷い込んだかのようなメルヘンの世界です。



コボルツェラー門と城壁



マルクス塔
12世紀に作られた城壁の名残り。



プレーンライン



マルクト広場と市庁舎

 市庁舎から高さ60mの鐘楼のてっぺんに上れます。ここからのローテンブルクの町並は素晴らしいですが、高所恐怖症の私には厳しかった。市議宴会館の壁面に仕掛け時計があり、市長が将軍の申し出を受け、ワインを飲み干すシーンが見られます。


ハイデルベルク(Heidelberg)

 ローテンブルクで1泊したあと、午後12時30分に出発。アウトバーン7号線を南下して6号線に入り、午後4時にハイデルベルクに到着しました。ハウプト通りは土産物屋、レストランが並び賑やか。ハイデルベルク城・バルコニーからの眺めが素晴らしい。カールテオドール橋を渡り、坂を上って哲学者の道に出ると、写真でよく見るハイデルベルクならではの風景が広がります。


霧のハイデルベルク 哲学者の道より


 ハイデルベルクで宿をとったあと、午後1時に出発してコブレンツに向かいます。アウトバーン5号線を北上して67、60、61号線と入り、ライン川沿いにぶどう畑が続く中をドライブし、午後4時にコブレンツに到着しました。コブレンツはライン川とモーゼル川の合流点にある町です。合流する地点はドイチェス・エック(ドイツの角)と呼ばれています。

エルツ城(Burg Eltz)

 コブレンツからモーゼル川を上ったエルツ峡谷にある名城です。モーゼル川から離れてからは見渡す限りの田園風景を走り、小さな村を2〜3通りすぎます。とてものどかな風景です。コブレンツを出て約1時間でエルツ城に到着しました。
 12世紀に建てられてから以後800年間、城主の家系により城は引き継がれています。一度も陥落したことがなく、ドイツの名城と名高い。500マルク紙幣にも印刷されています。城はツアーで周り、内部は様々な時代の装備が付け加えられています。



名城 エルツ城


深い森に囲まれたエルツ峡谷にひっそりと建っています。



エルツ城に向かう道中
見渡す限りの田園風景が広がっています。


ライン川

 コブレンツから折り返し、ライン川沿いをフランクフルト方向に走ります。丘の上にはひっきりなしに古城が現れます。ザンクト・ゴアルスハウゼンには有名なローレライがあります。船の難所だったことから生まれた伝説ですが、見た目は単なる岩山ですローレライの岩の上から見るラインの眺めが素晴らしいです。



マルクスブルク城
12世紀に築かれた中世の姿を完全な形で今に残す城。高くそびえる望楼が美しい。


カウプのグーテンフェルス城
現在は古城ホテルになっています。



マルクスブルク城からの眺め


フランクフルト(Frankfurt)

 ニューデスハイムで一泊したあと、最後の都市フランクフルトに向かいます。フランクフルトの正式名称はFrankfurt am Main(マイン湖畔のフランクフルト)といい、ドイツ金融と商業の中心です。またドイツ空の玄関口でもあります。
 
ライン川沿いよりアウトバーン66号線に入り、1時間30分ほどで到着。今まで走ってきた田舎と違い、都会のフランクフルトを運転し車を返却するのは最後の難関でしたが、アウトバーンは中央駅近くまで通っており迷うこともなくHERTZ営業所に到着。HERTZ営業所はフランクフルト中央駅にあり、ガソリンを満タンにして無事チェックイン完了。イタリア・ドイツ20日間の旅が終わりました。
 今回のドイツ・ドライブの旅は一生の思い出になりました。ドイツ人は紳士的で親切。治安も良くて居心地がいい国でした。


フランクフルト 大聖堂頂上からの眺め
ビルが立ち並ぶ整然とした町並みです。